新潟県 泉田裕彦 知事|永瀬正彦 対談|バイヤーズ・ガイド

連載記事

編集発行人 永瀬正彦 対談

新潟県

泉田裕彦 知事(当時)

未来に生きる子供たちのために、今を生きる私たちが解決しなければならない問題

新潟の食べ物は濃い! 旨みが詰まっている!

 先日、新潟県の泉田裕彦知事にお会いした時、味についてのお話しがとても印象的でした。泉田知事は新潟県の生まれなのですが、小学生の頃に初めて東京で食事をした時、“味が薄い”と感じたそうです。一方、他県から来た人が新潟の食材を食べると、”味が濃くておいしいですね”という声をもらうそうです。

 新潟の食べ物は濃い!これはしょっぱいとか辛いとか、そういう意味ではなく、“旨みが詰まっている”という意味です。

 新潟の食品・食材は、素材そのものの味が実によく出ていると言います。その理由として、信濃川と阿賀野川が流れる肥沃な土地、栄養分を豊富に含んだ水、昼夜の寒暖の差が大きく、日照時間も長いといった自然条件が、美味しい食材を豊富に生んでいるからとのこと。また、緑豊かな山並みから発する大小の河川が日本海に注ぎ、沿岸には広い大陸棚と、沖合に点在する天然礁を漁場としていることから、海産物の種類も豊富です。

“いっぱい食材がある”ことは、“何もない”のと同じこと!?

 しかし、新潟食材がなかなか話題とならない背景には、昔ながらの新潟県人の気質が関係していると言います。美味しいものがたくさんありながら、宣伝下手。“いっぱい食材がある”ということは、“何もない”と言っているのと同じことだと考えてしまう。また、食べ物をお金に換えるのではなく、本当に美味しいものを自分たちで育てていこう、という食文化が根付いていることも影響しているようです。

 しかし、新潟の美味しいものを自分達で独占しないで、他の地域の方にも提供していこうという動きが出てきました。新潟県では平成18年度から新潟県の食品・食材のブランドに取り組みはじめたのです。

 泉田知事は“ブランド”について、「ブランドは消費者への絶対的な信頼の証です。その確立のためには、短期的なイメージ戦略にとどまらず、消費者ニーズに合った生産や商品開発をして付加価値を高めるとともに、生産から消費に至るまで、高い品質管理とサービスを徹底し、マーケットが必要とする量を適切に提供できることが大切」だと指摘します。

お金を出しても食料が買えない時代の到来…。

 最後に、泉田知事と話題になったのは国内自給率の問題。生産者の平均年齢は、現在約65歳で10年前は55歳だったそうです。後継者が少ないため、生産者の平均年齢は時の経過とともに高齢化していきます。このままの状態が進むと10年後、生産者の平均年齢は75歳。その時、日本の農業は大丈夫なのか? 私達の食料は確保できるのか?

 もちろん、すぐに食べ物がなくなるということはありませんが、全体の6割を外国からの輸入に頼っている状況に加え、異常気象や新興国の人口増加といった問題によって、“お金を出しても食料が買えない”時代が来るかもしれません。それに備えて、食料をしっかり生産する基盤を確保することはとても大切なことです。


泉田裕彦知事とバイヤーズ・ガイド発行人・永瀬正彦

 『バイヤーズ・ガイド』発刊の目的は、食材・食品の情報を“伝えたい”生産者と“知りたい”バイヤーとを結びつけることにあります。私たちのサービスを通じて、国内で生産された食品が流通することで、結果的に日本の食料自給率向上にも貢献するものだと私は信じています。そのために、今、自分達の立場でできることを一生懸命、努力していかないと…。

 今、私達が抱えている問題は、未来に生きる子供たちのために、今を生きる私たちが解決しなければならない問題なのです。

2019年03月19日(火)

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