山梨県 横内正明 知事|永瀬正彦 対談|バイヤーズ・ガイド

連載記事

編集発行人 永瀬正彦 対談

山梨県

横内正明 知事

“果樹王国”山梨は、米でもトップクラスの評価を受けています。

光と水にあふれた環境が、山梨の素晴らしい食を生み出す

 山梨は、富士山をはじめ南アルプス連峰や八ヶ岳など3,000m級の雄大な山々に囲まれた山紫水明の地です。標高200mから1,200mまでの標高差のある地形と盆地特有の寒暖の差が大きいという特徴を活かし、県内全域で多様で高品質な農産物が作られています。


山梨県 横内正明 知事

 このような地理的環境から、江戸時代から甲州八珍果と言われるような多様な商品作物を作り、隣接する大消費地の江戸へ売り出してきました。そして今日では、八ヶ岳南麓や富士北麓の高冷地では、涼しい気象条件を活かして夏秋野菜や花が作られており、平坦地とあわせて、年間を通じ様々な農産物がつくられています。

 また、甲府市は県庁所在地の中では、日照時間日本一であり、甲府盆地では、盆地特有の昼夜の温度差が大きい気候などを活かし、日本一の生産量を誇るぶどう、桃、すもも等の果物や、ワインがつくられています。こうした日照時間の多さを活かして栽培されたスイートコーン、トマト、きゅうりも山梨の代表的な野菜です。

 さらに山梨県付近は、太平洋プレート、フィリピン海プレート、北アメリカプレート、ユーラシアプレートという4つのプレートがひしめきあう世界でもユニークで個性的な特色ある地域であるといわれています。この特色あるプレートを通して育まれたのが山梨の水であり、日本のミネラルウォーター生産量のおよそ40%が山梨県内で採取されるなどミネラル分豊富で良質な水源に恵まれた環境から、日本トップクラスの品質の米、日本酒などが生み出されています。

 このように、山梨は、“光”と“水”にあふれた県なのです。

“健康寿命”日本一は、山梨の食文化から

 山梨の食品・食材の特長は、山梨の自然環境の特長でもあります。実は、先ほどの“標高差1,000mの多様性”“日照時間日本一”“ミネラルウォーター生産日本一”の自然環境から、多様な農産物が育まれています。


 例えば、果物について申し上げると、現在、山梨県は全国1位の生産量をあげるぶどうと桃をはじめ、かき・りんごその他の果樹栽培をあわせて、果樹王国の名を誇っています。甲府盆地の地形と内陸性気候などの自然条件が、これらの果樹栽培に適していたからだと思われますが、すでに江戸時代には、この地で収穫できる代表的な8種類の果樹 「葡萄(ぶどう)・梨(なし)・桃(もも)・柿(かき)・栗(くり)・林檎(りんご)・石榴(ざくろ)・銀杏(ぎんなん)または胡桃(くるみ)」を総称して、一般的には“甲州八珍果(こうしゅうはっちんか)”の名称で呼ばれていました。

 また、本県は病気を患うことなく健康に長生きする、いわゆる“健康寿命”も日本でトップクラスです。これは、ぶどうや桃をたくさん食べているからだと思います。桃はビタミンCが多く、甘いのに低カロリーで、大変ヘルシーな果物です。中国では古来より、桃は長寿の食べ物と伝えられてきました。一方、ぶどうも皮の中にレスベラトロールという物質があることが分かりました。このレスベラトロールは人間の長寿遺伝子をオンにし活性化するので、長生きに非常によい影響を与えます。山梨県の健康寿命が長い一因ではないのでしょうか。


 そして、かなり有名になってきた『甲州ワイン』ですが、山梨で生産されたワインすべてが甲州ワインではなく、甲州葡萄という山梨県で千数百年来栽培され続けてきたぶどうを使った白ワインのことを言います。甲州ワインは130年前から作られ、山梨県人は普通に飲んできました。最近では、日本国内だけでなく、国際社会でも高く評価されるようになってきています。というのも、優しくて繊細な口当たり、風味が穏やかででしゃばらない。ある人が“大和撫子のような”と形容しましたが、かつての日本女性のように控えめだけれども存在感がある。特に日本料理のような素材を大切にする繊細な食べ物に、フランスの白ワインは個性が強くて合いませんが、甲州ワインは穏やかなので料理を引き立ててくれる。和食が国際的にブームになり、またフランス料理も素材を大事にするようになってきたので、和食に合うワイン、料理をひきたてるワインとして評価されるようになってきました。

 さらに、山梨県のブランド米『梨北米(りほくまい)』は、日本穀物検定協会の『米の食味ランキング』で、魚沼産コシヒカリや宮城県産ひとめぼれなどの銘柄米とならぶ最高ランクの評価を受けています。これは盆地ならではの昼夜の温度差・日照時間の長さ、そしてなんといっても、富士山、南アルプス連山・八ヶ岳から流れ出るミネラルたっぷりの清らかな水。山梨県は、おいしいお米のための条件がそろっています。味・香り・粘り…どれをとっても文句なしの“おいしいお米”が生産されています。

 あまり知られていませんが、ヤマメやイワナ、ニジマス、ヒメマスなどの淡水魚の養殖が全国で3番目に多い。これはやはり富士山や八ヶ岳のよい湧き水を使っているので養殖業が非常に盛んだからです。例えば富士山の麓にある富士五湖のひとつ本栖湖はとても深い湖であり、ヒメマスが深いところと浅い場所を移動するため、身のしまりがよく、食材として非常に質が高い。そのため、銀座の最高級のレストランでも使われています。

 それ以外にも、山梨の食文化と言えば“ほうとう”があります。ほうとうとは味噌煮込みうどんで、武田信玄の陣中食として作られ、長きにわたって広く親しまれてきました。

安全で環境に優しい農業、エコファーマーの割合はトップクラス


横内正明知事とバイヤーズ・ガイド発行人・永瀬正彦

 私が強調したいのは、山梨県人は頑張り精神が非常に強く、凝り性で自主独立の精神に富んでいるということです。農業も大変工夫をして質の高い食材・食品を作っています。

 ひとつの例として、『エコファーマー』という農林水産省の制度があり、これは、堆肥を使った土作りや減農薬、減化学肥料の栽培方法をとるなど、環境に優しい農業技術を備えた農家に一定の基準にのっとって与えられる資格ですが、山梨県内では約34%の農家が持っています。これは全国的にみても非常に高い数値で、山梨県の農家は安全な農業、環境に優しい農業をやろうという意欲が非常に強い。それだけ山梨の食材は安全性が高いのです。

 このように山梨の生産者は、非常に高い技術でこつこつと汗をかきながら、本当によいものを作っています。しかし、それが市場で十分に知られていない。私としては、そういう人たちの汗が報われるよう、先頭に立って積極的に山梨のよさを国内外に売り出していきたいと思っております。

 山梨の食の魅力が、多くのバイヤーの方々との商談の機会を通じ、広く全国に発信され、そこから新たなビジネスチャンスが生まれることを、心から期待しています。

2019年03月19日(火)

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