静岡銀行 中西 勝則 頭取|永瀬正彦 対談|バイヤーズ・ガイド

連載記事

編集発行人 永瀬正彦 対談

静岡銀行

中西 勝則 頭取

『しずぎん@gri com』は、常に成果を追求することで
生産者・バイヤー双方にとって価値ある商談会を目指す

農産物は他品種大量生産、レベルの高い食品加工技術


中西 勝則 頭取

 静岡県は気候が温暖なため、農作物は多品種でありながら少量生産ではなく、生産量日本一というものがたくさんあります。例えば、バラやマーガレットなど の花は生産量日本一ですし、お茶も最近では国内生産量の約半分に減りましたが、以前は60 〜70% が静岡産でした。そして、アルプス山系や箱根山系、富士山の水など、きれいな水にも恵まれているため、水ワサビの生産量も日本一です。

 一方、静岡県は平地が多いと思われていますが、広い平地は遠州地区と富士地区に限られています。そのため、有名な静岡ミカンは段々畑で作っているのですが、平地に比べて効率が悪いため、全国で第3 位(平成22 年産ミカンの結果樹面積、収穫量および出荷量)となっています。

 また、静岡県は食品加工メーカーのレベルが高く、なかでも特出しているのは缶詰です。日本の缶詰は、実は約99%が静岡県産、それも富士川から大井川間のエリアで作られています。なぜ、これだけ静岡に缶詰の会社が多いのかというと、これもミカンによるものです。

 実は、農家が食品の生産者として成り立つためには、3 つのルートが必要です。まず一番上等な物はそのまま販売しますが、2 番目のランクで表皮が汚れている物などは、缶詰のように形ある状態で加工します。3 番目のランクともなると、形も中身もダメでジュースやゼリーにする。こうした背景から、ホテイフーズやSSK(清水食品)、はごろもフーズ、いなば食品といった缶詰関連企業が静岡から生まれています。

 そしてあまり知られていませんが、静岡のお酒は洞爺湖サミットの乾杯で使われたくらい大変美味しい。ところが、大量に出荷できるほど蔵が大きくないため、残念ながら知名度はあまり高くありません。こうした静岡の小さな酒蔵は、様々な日本酒の品評会で金賞などを受賞していますが、この美味しさは『静岡酵母』によるものです。

 静岡酵母は、静岡県沼津工業技術支援センターに務めていた河村傳兵衛氏が作られた酵母なのですが、河村氏が公務員のため県民税を払っている静岡県内の酒蔵メーカーに無償で提供したものです。そのため、静岡の日本酒は酵母が一緒で、あとは米や水、作り方で個性を出しているのです。

“将来に結びつける”ことは“お金を儲ける”ことよりも大事

 こうした静岡県内の農林水産業者・食品加工業者と、農林水産物仕入企業(バイヤー) との商談・交流を目的としたのが、今回で第9 回目を数える『しずぎん@gricom』です。

 しずぎん@gricom は、単なる見本市ではありません。生産者や食品メーカーとバイヤーを結び付ける、日本一の商談会にすべく、その中身を徹底的に追求しています。たとえば、商談コーナーは展示ブースと同じくらいのスペースをさき、商談の記録や成約に関するデータを取るなど、常に成果を追求しています。こうした積み重ねが、単なる見本市のレベルを超え、価値ある商談会に変えているのです。

 また、生産者はバイヤーとの交渉が苦手な方も多いものですから、展示会の前には出展者を集めて、商談の仕方を事前にレクチャーするとともに、展示会後のバイヤーに対するアクションを含めた事後フォローまで行っています。

 その結果、昨年7 月に74 社が出展し開催した『第8 回 しずぎん@gricom』では、半年後における継続中の商談は809 件、そして52 件が成約に至りました。

 この他にも、法人部の『ビジネスマッチングサポートデスク』では、営業店から寄せられる県内企業からの相談や要望に対して、当行のグループ企業や公的機関などと連携してプラットホームとしての機能を持ち、将来、必要とされる様々な企業とのマッチングも行っています。

 “将来に結びつける”ことは、“お金を儲ける”ことよりも大切です。将来に結びつけるノウハウによって、新たなイノベーションが起こります。単に“良いものができました”では、自己満足で終わってしまいます。将来に結びつけるためにどうしていくか、それが私たちの力の見せ所であり、私たちが担うべき役割だと考えています。

商談を通じて良いものができれば、お互いの取引に繋がる


中西 勝則 頭取とバイヤーズ・ガイド発行人 永瀬正彦

 最後になりましたが、生産者や食品メーカーにとって大切なことは、商品や製品をきちんと作ること。そして、経営者の考え方がやはり重要です。そのため、私はしずぎん@gricom に出展する企業の経営者の方々には必ず全員お会いしています。

 商品を試食する際にも、経営者に直接感想を伝えます。時には、「全然、美味しくない」「こんなのダメですよ、売れません」と本音で意見を言い、地域と一体化した金融機関として対等の立場でアドバイスをしています。

 しずぎん@gricom の出展者は、こうした過程を積み重ねていますので、出展商品には非常に良いものがあると思います。バイヤーの皆様には是非よく見てもらいたいですね。

 そして、もうひと捻すれば良くなるという商品に対しては、生産者に是非アドバイスしてほしい。どの生産者も真面目に物作りをしているため、素直に聞く耳 を持っています。「ダメなものはダメ」とはっきり言っていただくとともに、「味や量、パッケージはこうした方がいい」という建設的なアドバイスがあると、生産者もアイデアがふつふつと沸いてくると思います。

 生産者そしてバイヤー双方にとって良いものができれば、お互いの取引に繋がります。しずぎん@gricom がそんな商談会になれば一番良いのではないかなと 思います。

2019年08月24日(土)

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