青森県
三村申吾 知事
青森県・三村申吾 知事
日本有数の食料供給源となっている青森県ですが、その背景には、豊かな水資源と漁場、広大な農地や森林、それに高い技術力があると思います。
この恵まれた環境や条件を生かした結果、本県のカロリーベースの食料自給率は平成19年度で全国4位の119%(概算値)とわが国の食糧供給に大きく貢献しています。品目別の自給率では、野菜や果実、魚介類がそれぞれ250%を超え、米を除くと64%の食料自給率となっています。これは東北地方ではダントツの1位。米以外の多種多様な食料が青森を支えているのです。
また、にんにく、ながいも、ごぼう、養殖ホタテ、イカ、ヒラメは全国トップクラスの生産量・漁獲量を誇っています。
海岸線はすべて合わせて約800kmにも及びますし、夏が涼しくて病害虫が発生しにくい気候、生産力の高い農地があるという好条件が、こうした多種多様な産物を生んでいるのだと思います。
特に、篤農家といいましょうか、“生産のプロ”として、より美味しいものを提供しようという意識の高い方が非常に多い。コツコツと生真面目な青森県人の気質が高い技術を生み、その方々が若手を育て、農林水産業のボトムアップを図っている。こうした良質な人材によることも大きいですね。
【水・土・人】──この3つの条件がうまく作用し、クオリティの高い農林水産物が生まれているのが、青森県の特徴なのです。
最近売り出し中なのが「黒にんにく」。これは、にんにくの球の中で実を熟成させるため、ペースト状になっていてそのまま食べられるというものです。また、「青森シャモロック」はものすごくいいダシが出るもので、以前テレビの料理番組で全国1位になりました。そして、温泉の熱を利用してつくった「温泉もやし」も面白い商品です。さらに、JALのファーストクラスには、大玉さくらんぼの「ダイアナブライト」、タカミメロン、洋なしの「ゼネラルレクラーク」などが採用されています。
フルーツのような甘さを持つ黒にんにく「元気くん!」
こうした食材は、今までは主に地域で消費していたのですが、生産力のアップなどで、他地域へ出すことができるようになりました。加えて、今まではプロ仕様といいますか、料理人の間で使われていた食材を、より多くの人々に提供できるようにしたり、各生産者が新しいものを次々に開発してきました。こうして、“まったく新しい食材”や“存在していたけれども、今まで積極的に売り出していなかったもの”も含めて、さまざまなジャンルの幅広い食材を全国の皆様にお届けできるようになったのです。
これだけ消費者ニーズが多様化し、地域間競争も激化してきていますから、青森の産品を全国の消費者に選んでいただく活動を積極的にしていかなければなりません。“おいしい”ことは当たり前で、あとはどう知っていただくか。その1つが、全国で開催する「青森フェア」ですね。私も各地を駆け回っています。日本のみならず海外も含めて、流通関係者の方々とこまめに連携して、販路を開拓していくことは、本当に大切なことです。こうして細かくアンテナを張っていると、やがて“選ばれる”ようになってくる。しかも、私たちの予想をはるかに上回る高評価をいただくこともしばしばです。
そして、青森のイメージを徹底的に大事にすること、つまり“地域ブランド”を大切にすることも欠かせません。りんごはもちろんのこと、「田子にんにく」「黒にんにく」や「大間のまぐろ」「八戸前沖さば」、白いなめこ「初雪たけ」や「青森シャモロック」、青森の冬を上手に活用した雪室貯蔵のりんごや自然薯、寒さで甘さが増したにんじん、雪締めほうれん草、さらにはB級グルメとして全国的に知名度が向上しつつある「せんべい汁」や「つゆ焼きそば」──。
三村知事と青森県産品キャラキター「決め手くん」
【決め手は、青森県産。】をキャッチフレーズにして、地域特産品の発掘、開発・改良をはじめ、地域リーダーの育成、販路拡大に向けた販売体制づくりなど、イメージ向上やブランド化に向けて県全体で取り組んでいます。
青森の人々は、本当にコツコツと実直に、地道に仕事に打ち込んでいます。そんな“青森の正直”をキーワードにして、生産だけでなく、販売などの“出口”を意識したバックアップをしていく。これにきちんと取り組むことによって、生産者が生まれ変わり、地域が活性化していくと思うのです。