有限会社れんげ 代表取締役 浮田秀樹 氏
昭和47年に仕出し弁当店として創業し、現在は車による弁当・惣菜の移動販売を行っている有限会社れんげ。同社では、オフィスビルや工場を中心に車6台で250社をまわり、1日に約1,000食を提供しているという。
同社代表取締役の浮田秀樹氏は、「ここ平川地域165名の生産者による農業法人から新鮮な食材が手にはいるため季節の食材を使用し、化学調味料・人工添加物を使用せず完全手作りのお弁当(和風・洋風)やお惣菜をリーズナブルな価格で提供させていただいております」。
お弁当・お惣菜の移動販売車
そんな同社の弁当・惣菜を評価して、お客様からある相談が寄せられる。
「共働きの奥様が帰宅後に、ご主人やお子様の晩ご飯を作る余裕がない。幼少の子供でも食べられる添加物や化学調味料の入っていない、おかずはないか? という相談でした」。(浮田氏)
同社は創業後38年間に渡って営業しているため、様々なレシピが蓄積されていた。そして、その当時は肉巻きおにぎりが流行っていたため、20数年前に会議向け高級弁当に入れていた、玉子を豚肉で巻き醤油で味付けしたおかずに再注目。お客様からの「美味しいのでいろいろ組み合わせてみたらどうか」というリクエストに応えて、新たな惣菜商品を開発することになった。
豚珍巻 しょう油味 玉子巻
こうしてできあがったのが、口の中でふわっと広がる柔らかさを持つ、豚肉巻きお惣菜シリーズ『豚珍巻(とんちんかん)』だ。
豚珍巻は、玉子を山口県産ハイポー豚の三枚肉で巻いて醤油で味付けした『しょう油味 玉子巻』を基本に、同じく地元のごぼうを豚肉で巻き地元の平川荒神味噌で味付けした『みそ味 ごぼう巻』、地元のじゃがいもを巻いてカレーで味付けした『カレー味 じゃがいも巻』、地元の大根を巻いて野菜出汁で味付けした『コンソメ味 だいこん巻』の4種類をラインアップし、当初は自社のみで販売を行った。
お客様からは“高いけれど美味しい”“冷蔵庫にあったら安心”という高評価をもらい、地元のスーパーでも販売されるようになる。惣菜コーナーだと単価が安いため、精肉コーナーの豚肉関連商品として扱ってもらった。
そして2011年には、全国展開を目指して展示会に出展。そして『バイヤーズ・ガイド』にも、惣菜のカテゴリで商品情報の掲載を行う。
「バイヤーズ・ガイドは見られることが大事だと思ったので、掲載するカテゴリでは悩みました。そして掲載件数が少なめの方が目立つと思い、惣菜のカテゴリに掲載することにしました」。(浮田氏)
『豚珍巻』全シリーズ。左から、しょう油味 玉子巻、みそ味 ごぼう巻、カレー味 じゃがいも巻、コンソメ味 だいこん巻
すると、バイヤーズ・ガイド掲載による問い合わせはすぐに寄せられた。豚珍巻に興味を持った横浜の小売店から商談依頼が来たのだ。
「地元の商工会議所の会頭をしている方のため、たくさんのお客様をお持ちのようで、ビラで注文をとりたいというご意向から『しょう油味 玉子巻』を250パックご依頼いただきました」。(浮田氏)
その時の反響は大きかったと言う。関東を中心に関西・中国地方など20数社から依頼と問い合わせが寄せられる。ついには生産が追いつかず、10数社はお断りするほどの効果だったという。
同社の新商品となる『豚なんこつ煮 味噌しょうゆ味』
また展示会や商談会で名刺交換をしたことがない首都圏の食品セレクトショップから“バイヤーズ・ガイドを見た”といって何度か問い合わせの電話が寄せられた。
「首都圏に10数店舗をもつ食品のセレクトショップで、豚珍巻を広告に載せて販売したいという意向を受けて、初回500パック出荷しました。すると翌週も400パックを追加発注いただき、現在もお取引が続いています。今度は弊社から新商品となる『豚なんこつ煮』をご提案しようと思っています」。(浮田氏)
お弁当・お惣菜の移動販売車でも『豚珍巻』をPR
今回、取引のきっかけとなったバイヤーズ・ガイドについて浮田氏は、次のように語る。
「商品情報の項目が分かりやすいため、とにかく商談が早いですね。スピードが違います。また、お問い合わせの内容も価格に関する相談より、商品そのものに対する質問が多い。お問い合わせいただいた小売店さんは、売場に置いた時の具体的なイメージができている方が多いという印象です」。
現在、同社の事業シェアでみると移動販売の弁当事業9に対して小売用惣菜事業1の割合となっている。しかし、浮田氏は将来この比率が逆転するであろうと予測している。
最後に浮田氏は「全国に向けた惣菜商品の販路開拓は、弊社にとって重要なテーマです」と語ってくれた。