(2)地域を意識した、遊び心のある売場 劇的に“進化”するリノベーション|バイヤーズ・ガイド

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(2)地域を意識した、遊び心のある売場 劇的に“進化”するリノベーション

地域を意識した、遊び心のある売場 劇的に“進化”するリノベーション

長引く消費の低迷という状況にあって、食品スーパーマーケットは大胆な変革を迫られていることは言うまでもない。その中で、手がけた店がどこも120〜200%の売上を達成する仕掛け人がいる。株式会社プログレスデザイン代表取締役・西川隆氏だ。全国各地のスーパーマーケットを劇的に演出し、売上を飛躍的にアップさせることで知られる株式会社プログレスデザインの代表だ。同氏が考える店舗のリノベーションと意識改革とはどういうものなのか、そして“最初の1店”の店舗づくり、その真髄とは? お話を伺った。

再生のキーワードは、【戦略】と【地域】

株式会社プログレスデザイン
代表取締役社長
西川 隆 氏

1966年、大阪府生まれ。学生時代はグラフィックデザインを学び、卒業後デザイン事務所と商業施設の設計事務所を経て、2000年にプログレスデザインを設立。全国各地の食品スーパーマーケットを手がけ、店舗コンセプトをはじめ、店内・外装のデザインからネーミング、ときにはPOPやユニフォームなどのカラーアドバイスに至るまでをトータルに手がけている

今やさまざまなメディアで取り上げられ、“売場の救世主”とも呼ばれている西川氏。年間50〜60の店舗を再生させているというが、プロジェクトを始めるに当たって最も重要視することは、その会社が目指す方向や戦略をじっくりと聞くことだという。

「オーナーさんの中には、ご自分のもつチェーンを何店か一気にやりたいという方もいらっしゃいます。しかし、それはしません。まずは1店だけをやって、その会社が“進むべき道”をつくることが大事です」。

そしてもうひとつ大切なことは、その店のある地域だと西川氏は言う。

「スーパーマーケットはその地域の毎日の食を支える施設であることは言うまでもありません。だからこそ、全国同じというものはありえない。そのエリアの客層をしっかりとつかみ、地域性と季節に合わせた品揃えを展開し、毎日来ても飽きないようにしなければいけません」。

地域に合わせ、最初の1店で徹底的に検証をして、どんどん進化させてから、次の店に取りかかる。しかし次の店はまた別の地域だから、またそこに合わせた店をつくる。もちろん、最初にオーナーと話した企業カラーは絶対にぶれないから、結果的に店舗ごとに違うつくりになっても、企業としての一体感が失われることはない――。こうして西川氏が手がけたスーパーマーケットは、どこも前年比120〜200%の売上になっているという。

“お客様を招き入れる”入口から人の流れが決まっていく

こうして実際の店舗づくりに取りかかっていくが、店舗デザインを考える時にとにかく気にするのが、人の流れだ。

「紙のデザインからインテリアデザインなど、さまざまな経験をしてきましたが、“サイン”(表示)はとても重要だと思いました。せっかくいいデザインができても、設置場所を間違えれば人が迷ってしまう。逆に目立ちすぎても建物の景観を損ねてしまいます。人の流れを理解し、色と形を調和させて誘導する――店舗で言えば、人をいかに招き入れて、店の奥まで行っていただくか。それがよく分かりましたね」。

大きく店の名前が掲示されるだけの外観ではなく、例えば木の格子を多用して温かみを出し、夜はぼんやりと間接照明を照らすなど、西川氏が手がけた店舗のエントランスは実に斬新だ。そして、店舗の名前がさりげなく掲げられているものも多い。「巨大な看板を出すほど、店の名前がものすごく大事というわけではありません。お客様は“何か楽しそうなものがありそうだから”来るわけですから。実際、同一のチェーンであっても場所によって全部名前が違うこともあります」。

ただデザインがいいだけでは、お客様にすぐ飽きられてしまう。人を迎える外観から始まり、店内をどう動いて、買物を終えてもらうか。店がどういう付加価値を提供し、いかに地域に溶け込んでいるかは、こうした店舗のつくりを見れば分かるだろう。思わず毎日来たくなるというようなリピーター、ファンをつくるにも、最初の一歩はとても大きい。

プログレスデザインによる店舗づくりの事例

SATAKE西駅前店(大阪府茨木市)

A・COOP VASEO(和歌山県東牟婁郡)

店内にクッキングアドバイザーを常駐する店舗も


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